店先にちょこんと座っておいでおいでと手招きしている招き猫は、江戸時代末期に江戸の町で誕生しました。達磨や福助と並ぶ日本独特の縁起物のひとつです。江戸、明治、大正、昭和、平成と5つの時代を生き抜き、庶民のために福を招き続けています。左手挙げが「人招き」、右手挙げが「金招き」と言われますが、時代の変化を反映して「恋愛」「長寿」「宝くじ大当たり」などさまざまな御利益が付与されてきました。  特に平成に入ってからは、空前のペットブームもあいまって、猫好きの人気を集め、実に多種多様な招き猫が作られるようになりました。招き猫をテーマに作品づくりをするアーティストも増えてきています。いまや招き猫は日本最強のラッキーゴッドといっても過言ではないでしょう。  また、日本ばかりでなく、最近は東南アジアを始め、世界のあちこちで招き猫の姿が見られるようになってきました。
 招き猫ミュージアムは、「日本招猫倶楽部」の世話役をつとめる板東寛司・荒川千尋夫妻の個人コレクション数千点を展示する、日本最大の招き猫博物館です。前身の「日本招猫倶楽部 招き猫ミュージアム」は、群馬県吾妻郡嬬恋村にありました。(2000年〜2004年)
 2005年3月、より多くの方々に広く招き猫の魅力を知ってもらいたいという夫妻の願いから、1996年から官民をあげて「来る福招き猫まつりin瀬戸」の開催に取り組んできた愛知県瀬戸市に移転する運びとなりました。
 「来る福招き猫まつりin瀬戸」実行委員会のメンバーでもある陶磁器メーカー、株式会社中外陶園がミュージアムの建物を提供し、企画運営の主体をつとめています。
 ミュージアムの建物は、同社の倉庫として使われていたものを全面的に改築。大正時代の洋館建築をイメージした印象的な外観は、瀬戸中心市街地の新たなランドマークとして注目されています。地元の造形作家・小澤康麿氏によるタイルや立体作品など、建物の細部にほどこされた猫の装飾を探す楽しみもあります。
 招き猫コレクションは、1)歴史 2)寺社もの 3)郷土玩具 4)主要産地別 5)珍品 6)雑貨などに分類され、日本文化の一面を伝える見ごたえのある展示となっています。
 招き猫ミュージアムのある愛知県瀬戸市はやきもののまち。そして、明治以来の歴史を持つ招き猫の生産地、つまり故郷でもあります。
 かつて瀬戸は、人形や鳥など精密に表現したセト・ノベルティーと呼ばれる海外輸出向けの置物を多く生産していました。そのセト・ノベルティー生産の原点ともいえるもののひとつに招き猫があります。 明治30年代後半以来約100年間、「古瀬戸(ふるせと)タイプ」からファンシーな招き猫まで、時代の要請に合わせ、さまざまな招き猫を作りつづけてきました。
 「古瀬戸(ふるせと)タイプ」と称される細身で前垂れを着けたかたちの招き猫は、京都の伏見人形が原型とも言われます。
 現在、最もポピュラーで生産高が多い招き猫と言えば、小判を抱えた二頭身の「常滑タイプ」。昭和20年代後半に現在のモデルが完成し、瀬戸市のお隣の常滑市が主産地となっています。

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